ELDEN RING(エルデンリング) 死衾の乙女フィアと陰謀の夜の真実|考察
ELDEN RING
※この記事にはロジェール、ラニ、D、フィアのイベントに関する重大なネタバレが含まれます。また、断片的な情報を元にした考察ですので、公式の設定とは異なる可能性があります。
以前の記事で、エルデンリングの世界における“陰謀の夜”について書いた。そして、その首謀者が誰であったかを突き止めるに至った。つまり“陰謀の夜”をひとつの事件とすれば、真犯人が判明したのである。
では事件の被害者は誰なのか。まずはこのことについて触れておきたい。
手始めに、死王子の瘡というタリスマンの説明を見てみよう。
“陰謀の夜”が「デミゴッド最初の死」の事件であることはすでに分かっている。
ここで、その最初の死者が“ゴッドウィン”であること、彼は“死王子”と呼ばれていること、そして王都の地下、黄金樹の根本に埋葬されていることが判明する。
事件の加害者、被害者が明らかになった。ならば、次に究明すべきは被害者の死因である。
これについては以前の記事でも紹介した、死の呪痕というアイテムの説明に書かれている。以下の画像を参照されたい。
月の王女ラニは“死のルーン”の力を使い、王子ゴッドウィンを殺害しようとした。しかし、“死のルーン”の呪いはラニ自身にも跳ね返り、彼女は自らの肉体を捨てなければならなくなった。
ラニ(デミゴッド)の肉体と、ゴッドウィン(デミゴッド)の魂はそれぞれ死を迎え、最初のデミゴッドの死者は一人ではなく、二人となった。
その結果、呪痕は不完全な形となり、半円ずつの二つの欠環となった。
ラニ(デミゴッド)の肉体と、ゴッドウィン(デミゴッド)の魂はそれぞれ死を迎え、最初のデミゴッドの死者は一人ではなく、二人となった。
その結果、呪痕は不完全な形となり、半円ずつの二つの欠環となった。
というのが“陰謀の夜”の結末のようである。これは恐らく遠い昔の出来事で、その真相を知る者はほとんど残っていないに違いない。
だが、ゼロではない。
だからこそ、現在の時間軸で“死衾の乙女フィアによる、死を刈るものD殺害事件”が発生したのである。
なぜ、Dは殺されなければならなかったのか。これについては、以前の記事で「Dは陰謀の夜について何らかの関わりがあった・あるいは真相を知っていた」からではないかと推論を立てた。
だが、あまりに情報が少ない。さらに調査を進めるため、Dの双子の弟がいた“永遠の都ノクローン”のさらに奥へと向かった。
ようやくたどり着いた先は、深き根の底という場所であった。
(ちなみにそこへの行き方は“石棺”に入ること。死の暗示がとにかく多い)
前に触れたとおり、ゴッドウィンの遺体は黄金樹の根本に埋葬されているはずである。ならばこの先に待ち受けているものがなにか、察しはつくだろう。
その手前で出会った老婆のセリフを以下に引用する。
「…ゴッドウィン様。坊ちゃまは、死ぬべきでした。黄金の貴公子が、死に生きるなどと。そんな、醜いことがあるでしょうか」
ゴッドウィンは魂だけの死を迎え、肉体だけが今も残されている。それは単なる死よりもずっと酷いものなのかもしれない。
予想通り、そこにゴッドウィンの遺体はあった。
そして、やはりロジェールやDの命を奪ったのと同じ、茨のようなものが突き刺さっていた。画像では分かりづらいかもしれないが、非常に巨大な体躯だ。写真はかなり遠景で撮っている。
きっと往時には、それは偉大で美しい姿だったのだろうが、見る影もなかった。
(下半身が魚のような、人魚とも言える形に見えるが、それについては今はまだ分かっていない)
もっとよく見ようと、かなり接近したその時だった。
突然、戦闘がはじまり、総勢5人と戦う大連戦に。
それぞれのHPは低く苦戦はしなかったものの、かなり驚愕の展開となった。
かつて同じ謎を追った仲間、魔術師ロジェールの姿もあった。
なぜだ。
どうしてこんなに酷いことをするんだ。
世の中には、やって良いことと悪いことがあるのである。どうして(幻影とはいえ)かつての恩人をこの手で殺さねばならないのか。怒りと悲しみを同時に覚えた。
この戦闘で敵として登場したのは、以下の五名である。
・フィアの英雄
・魔術師ロジェール
・フィアの英雄、フィアの英雄、豪胆ライオネル(最後に三人同時に登場)
名前に「フィアの」と付いていることから、恐らくはフィアが何らかの方法で召喚したと考えられる。そして、彼ら五人の共通点はなにか。
実は「豪胆ライオネル」に関しては、王都内で彼の装備品を拾うことが出来る。そのアイテム説明を見てみよう。
全員を倒すと、その奥に“死衾の乙女フィア”の姿があった。
近くに出現したファストトラベルポイントの名前は「死王子の座」。やはり間違いなさそうである。
フィアに話しかけると、二つの選択肢が出た。
「彼女を許さない」か、もしくは「抱かれたい」か。
この後に及んで何を、という思いで「許さない」ほうを選んだ。すると、「私を殺せ」という。ここで殺してしまっては意味がない。
今度は「抱かれる」ほうを選んだ。その時の彼女のセリフを以下に引用する。
「あなたは知っていますか。デミゴッドの最初の死に刻まれる、百足傷の欠環を。ゴッドウィンの聖痕は、円卓で取り戻しました。けれどそれは、もうひとつ存在するはずなのです。…私はそれを、探さなければなりません。我らが王を戴く、その時までに」
刑事ドラマで言えば、犯人の独白のシーンである。
容疑者フィアは、ゴッドウィンの聖痕を取り戻すため、円卓で被害者Dを殺害した。
なぜDは、ゴッドウィンの聖痕を所持していたのか。
これは筆者の推測だが、ロジェールの手紙にあった「Dの弟が死王子に見えた」のが本当ならば、そのときに弟は聖痕を手に入れて兄のDに渡したのではないか。
Dのイベントで登場した“蝕まれた短剣”は、聖痕をゴッドウィンの身体から取り出すときに使われた(ために呪われ、蝕まれた)のではないか。それがゴッドウィンの遺体のそばに置き去りにされ、フィアが見つけた。
だからこそ“蝕まれた短剣”は始めにフィアから主人公へ渡され、主人公からDへと届けられたのである。
(今にして思えば、あの「短剣を渡す」という行為自体が非常に挑戦的なメッセージであることが分かる。「お前が何をしたか知っているぞ」という、フィアからDへの脅迫行為にも近しい)
そして、フィアのいう「百足傷の欠環」は、私が持っているのだ。
ラニの身体に残されていた、死の呪痕。それをフィアに渡すかどうか、選択肢が出た。
私は躊躇した。これはロジェールが追い求めた謎の、唯一の証拠品だったからだ。
さんざん迷った挙げ句、手渡した。その時のフィアのセリフが以下である。
「これは…、もうひとつの聖痕…これでゴッドウィンは、あるべき最初の死者となり きっと再びの、偉大な生を得るでしょう。貴方は私の、いえ私たちの、英雄です。私は、なにもできませんが…せめて一時だけ、強く、抱かせてください。」
そして“光射す帳の恩寵”を手渡される。アイテム説明文には、
死衾の乙女は、生涯ただ一度だけ
英雄にこれをもたらしたという
それだけが、乙女の意思に任されたのだと
とあった。最初で最後の、自分の意志で、これを渡してくれたということだろう。
先ほどのフィアの話を、もう少し分かりやすく解釈してみよう。
・これでゴッドウィンは、あるべき最初の死者となり
これはゴッドウィンの死が“魂だけ”の不完全な状態から、“完全な死”に修正されたということであろう。欠けていた二つの呪痕がここに揃ったのである。
・きっと再びの、偉大な生を得るでしょう
フィアは遺体と同衾することで、死者を蘇らせることが出来る。今まではゴッドウィンの死が不完全な状態であったためそれが出来なかったが、その問題は解決した。あとは同衾するだけである。
さらにフィアの話は続く。
「…私はもうすぐ、ゴッドウィンと同衾します。そして、きっと宿すでしょう。黄金の王子にしてデミゴッド最初の死者たる彼の、再びの生を。死に生きる者たちのための、ルーンを。貴方に、お願いしたいのです。私の子を、ルーンを掲げ、王になってはもらえませんか。死に生きる者たち、そのあり様を許す 我らの、エルデの王に」
これは恐らく、エンディング分岐に関わる重大な選択肢に違いない。
そしてそれは、ロジェールの悲願でもあった。
彼のイベント中に何度か会話をする機会があるのだが、その中で「死に生きる者たちを救いたい。彼らだって好き好んでその道を選んだわけではないはずだ」という趣旨の話をしてくれる。
そして「このことをDが知ったら激怒するに違いない。いや、それとも少しは悲しんでくれるだろうか」とつぶやくのが印象的だった。
「けれど、このことをDが知ることはないだろう。なぜなら私は嘘つきですから」という言葉で、その会話は終わる。彼らは友人同士だったが、仲違いをしていた。その原因はこのあたりにありそうである。
“死に生きる者たち”とは、具体的にどういう者たちなのか?については、山賊スケルトンの遺灰にて、次のように書かれている。
止めを刺されない限り、何度でも蘇る霊体
陰謀の夜の後、狭間の各地に死の根が現れ
死に生きる者たちが生まれたのだ
やはりすべての元凶は、陰謀の夜ということになる。
黄金樹の根本にあるゴッドウィンの遺体から、黄金樹の根を通して、死の呪いが世界中に伝播している、と解釈できる。
(ここまでくると、Dに紹介されて出会う、死の根を求める“獣の司祭 グラング”についても、調べる必要がありそうな気がしてくる)
ともかく、私はフィアの提案を承諾した。
すると彼女はゴッドウィンのそばで静かに横になり、主人公はその夢の中に入ることが可能になる。
夢の中では、“死竜フォルサクス”と戦闘になる。
フォルサクスは、ゴッドウィンの中で死と戦い続けていた。友を救うために。
主人公はフィアの夢を通してゴッドウィンの中に入り込み、フォルサクスをも開放したのだ。
主人公はフィアの夢を通してゴッドウィンの中に入り込み、フォルサクスをも開放したのだ。
夢から出ると、フィアのそばに一つのルーンが浮かんでいた。
だが、これで終わらないのがこのイベントの残酷なところである。
再びフィアのもとを訪れると、血のついた剣を掲げて高らかに声を上げる男がいる。
再びフィアのもとを訪れると、血のついた剣を掲げて高らかに声を上げる男がいる。
「死王子よ、とくと見よ!黄金律の怒りを!黄金律の正義を!貴様の魔女はこの様だ!正しく死んだ肉塊だ!とくと見よ!死王子よ!この穢れた売女は、肉塊は、もう二度と子を宿さぬ!貴様の母は、死んだのだ!ウワーッハッハッハッ!それが報いだ、Dの怒りだ!魔女め!死王子め!」
話しかけると、
「…ああ、貴公か。穢れの魔女は死んだ。黄金律は穢されぬ。我が兄、ダリアンにも、やっと顔向けできる。黄金よ、我が魂を律したまえ」
そう、誰あろうDの双子の弟である。彼はフィアを殺害し、その後は装備一式を置いて姿を消してしまう。
手に入れた中に、分かたれぬ双児の剣というものがある。詳しく見てみよう。
黄金律だけが彼らの拠り所となった。
だからこそ、Dら兄弟は黄金律に反する“死に生きる者たち”を刈った。
だからこそ、Dら兄弟は黄金律に反する“死に生きる者たち”を刈った。
死を刈る者Dの由来である。
(それを踏まえれば、死に生きる者たちを救済したいと考えるロジェールと、“死を刈る者”Dの仲違いはきっと避けられないものだったろうことは、想像に難くない)
フィアもDら兄弟も、どちらも自らの存在を許される場所を求め、その場所を守るために行動した。その結果が悲しい衝突を生み、悲劇を招いてしまった。
死に生きる者たちを許すか、黄金律を守るか。
あなたは、どちらを選ぶだろうか。
選択は、プレイヤーに委ねられている。
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