Voice of Cards ドラゴンの島

※こちらは体験版のレビューになります。製品版とは異なる可能性がありますので、ご了承ください。
発売日:2021/10/28
ジャンル:RPG
評価:★★★☆☆
雰囲気は良い!けれどカードゲームにした意味があまりないような?

 TRPGやカードゲームの要素を取り入れた本作。ストーリーはゲームマスターと名乗る人物が、プレイヤーに語りを聞かせるかたちで進んでいきます。登場人物のセリフや心情などもすべてゲームマスターが読み上げていくので、個別のキャラクターボイスはありません。
 キャラクターデザインや音楽は秀逸で、とても良い雰囲気を味わえます。キャラクターや装備品、アイテムなどもすべてカードという形で表現され、ひとつひとつが美しい絵柄とデザインで素晴らしい。
 ジャンルはRPGですので、街を一歩出ればモンスターとの戦闘になります。この際もキャラクターが放つ技などはカードで表示されるのですが、ここでちょっと問題が。
 カードゲームとRPGの融合といえば、Slay the Spireなどが有名ですね。プレイされた方も多いのではないでしょうか。こちらの作品を例に取ってみると、戦闘開始時にプレイヤーの手持ちに来るカードはランダムです。実際のカードゲームの多くはランダムに手元へ引き当てたカードの効果を活かしながら対戦に勝つのが目的ですから、その要素を上手く取り入れていると言えます。
 しかし今作では、戦闘開始時に手持ちにくるカードは固定されています。通常攻撃、特殊攻撃、回復技などがキレイに揃った状態でバトルが始まるわけです。

―あれ?これって見た目がカードなだけで、ただのコマンドRPGでは?
 そう思ってしまうのもやむなしと思います。それっぽい要素はあちこちに散りばめてあるものの、いまいち目新しさが感じられない。それってSlay the Spireでよくね?
 特殊攻撃を放つ際にもTRPGっぽくダイスを振る演出はありますが、逆に言ってしまえばそれだけ。ときどき表示される選択肢はどちらを選んでも結果は同じというありさまで、自由度はほとんど感じられない。テーブルトークRPGっぽさってなんなんだろう、といった感じ。
 せめてキャラクターメイクとして見た目を変えられるとか、ダイスの目で能力値を決めるとか出来たら良かったのにな。雰囲気がいいだけにもったいない、と思わせられる内容でした。