冤罪執行遊戯ユルキル|体験版レビュー
冤罪執行遊戯ユルキル
発売日:2022/5/26
ジャンル:冤罪脱出ADV&弾幕STG
評価:★★★★☆
事件の犯人と被害者が弾幕シューティングで決着を付ける!?おもしろデスゲーム!
みなさん、ユルキル~!(あいさつ)
この記事では、2022年4月28日に配信が開始された『冤罪執行遊戯ユルキル』の体験版のレビューをしていきたい。筆者はPlayStation5版をプレイしている。
冤罪 / 執行 / 遊戯 と横に並べてはいけない単語トップ3を繋げたようなタイトルだが、後に続くユルキルというのも不穏な感じを受ける言葉である。
赦ス or 殺ス(killス)からユルキルと言うらしい。やはり不穏だ。
ジャンルは冤罪脱出ADV&弾幕STGとなっている。一見、噛み合うのか不安になる組み合わせだが、やってみるとこれはこれでアリ!という感想になった。
案ずるより産むが易し、体験版があるのだからまずはやってみるべし!というわけで、ここからは第一章がまるごと遊べる体験版でじっくり吟味していこう。
謎の豪華客船で運ばれる参加者、たどり着いた絶海の孤島、奇抜な格好をした進行役、と“デスゲームのお約束”が三拍子揃った導入から物語は始まる。
と、怪しさ満点のシチュエーションで行われる“ユルキルゲーム”に参加することとなる。参加者はいずれも何かしらの罪を犯したとされる犯罪者たち、そしてそのパートナーとなる執行人たちが組んで行われる。
ここでポイントとなるのは、犯罪者たちはみな「冤罪」を主張していることだ。
そして、このユルキルゲームのアトラクションで勝ち残った一人にだけ、“冤罪を晴らすチャンス”が与えられるという。
びん子の言葉をそのまま引用すると「つまりもう一度あなた方に裁判を受けさせて、その場で我々が必ず冤罪を証明します」とのこと。
犯罪者たちの言う通り、その犯罪が本当に冤罪で、それを証明できる証拠を運営が持っていると言うなら、それはもうその犯罪自体が運営の仕組んだものなのでは?と勘繰ってしまうが……考えてばかりでは話が進まないので置いておこう。
犯罪者たちがゲームに参加するメリットは、冤罪を晴らせること。では執行人たちのメリットは?というと「願いが何でも叶う」らしいのである。これまた胡散臭い。
しかもこの執行人とは、ただ正義に駆られた者たちではない。
犯罪者たちが起こした(とされる)“事件の被害者”なのである。
事件の犯人と被害者が協力して、それぞれが望むものを手に入れる。なんとも歪な協力関係である。
第一章の主人公である千石も、パートナーのリナとなんとか友好関係を築こうとするが、被害者側のリナからしたら到底受け入れられるものではない。
しかも執行人側には、犯罪者をすぐさま処刑できる手段が与えられているのである。それが“執行ボタン”だ。
犯罪者たちの首にはユルキルリングという首輪が嵌められており、ボタンを押すと毒針が飛び出てそのまま処刑されるという仕組みだ。
ボタンはスマートフォンのようなデバイスで持ち歩くことができ、つまりいつでも押せるということだ。
ただでさえユルキルゲームのアトラクションで命を落とす可能性もあるのに、さらに執行人の不興を買っても処刑されるという、非常に厳しい状況を戦っていかなければならない。
この緊張感が良いスパイスとなっているのも本作の特徴だといえる。
それでは生き残りをかけたアトラクション、ADVパートへ移ろう。
さて、アトラクションを協力して突破するという目的上、必然的に犯罪者と執行人は何かしらのコミュニケーションを取ることとなる。
そして、ちょっとしたきっかけで対立が起きてしまうこともある。なにしろ事件の犯人と被害者が同じ場所に閉じ込められているのだ。仲良くなれるはずもないのである。
犯罪者と執行人が完全に敵対し、トラブルが起きてしまう出来事をマジキルタイムという形で表現している。
執行人からの詰問に四択のクイズ形式で答えながら、処刑を免れることが目的である。一度でも間違えればすぐさまゲームオーバーとなってしまう。慎重に答えを選ぼう。
「正しい選択肢を選んでも、必ず殺意が段階的に上がっていきます」との説明の通り、マジキルタイムを切り抜けたところで、執行人からの印象が好転するわけではない。
むしろ徹底的に対立の溝が深まってしまった。せっかくアトラクションをクリアできたというのに、だ。
このままでは埒が明かない。というわけで、ここからは犯罪者と執行人が対話をして決着を付ける段階に突入する。弾幕STGパートのスタートだ。
重要なのは、事件に関する結論を出すことが目的ではないということだ。裁判ではないのだから、正しい判決を下す必要はない。たとえ真実はまだ分からなくても、執行人が結論を先延ばしにしてくれさえすれば、十分な成果といえる。
一番の目標は、執行人からの処刑を阻止することなのである。
このシューティングゲームは、大きく分けて3つの場面に分かれている。
1.高速クイズ
これは自機が出撃する前の準備段階となる。弾幕シューティングが始まる前に、この段階をクリアしなければならない。
ここでの正答数で、自機の数(残機数)が変わるため、最も重要な部分だといっても過言ではない。
犯罪者である主人公と、被害者である執行人がどちらも関わる事件の内容を思い出し、慎重に答えを選択しよう。
2.ヘンケンシナプス
【証拠をもとに執行人の勘違いしている部分を訂正するパート】
執行人の思い込み、偏見を正すことが目的となる。
犯罪者からすればこの事件は冤罪なのだから、どこかしらに“矛盾”や“勘違い”している部分があるはずだ。そこを指摘して説得の足がかりとしよう。
3.ココロメイズ
【執行人が何を望んでいるか・どうすれば赦してもらえるか結論を出すパート】
これは正式な裁判ではないので、証拠を用いて間違いを正したとしてもそれがクリアとはならない。むしろ執行人の認識とそぐわない、新証拠や真実を突きつければ突きつけるほど、相手は激高し処刑されてしまう可能性すらある。
犯罪者の生殺与奪は、執行人が握っているということを忘れてはならない。
あくまでも執行人が納得する形で「赦してくれなければ」意味がないのである。
というわけで、二人の間の落とし所を探っていくのがこのパートとなる。
繰り返しになるが、“結論を今すぐに出す必要はない”ということだけでも執行人が分かってくれれば、それで良いのである。
謎解きアドベンチャーと弾幕シューティングという異色の組み合わせだが、筆者はこういった構成も面白いと感じた。
対話としてのシューティング、説得としての弾幕という表現の仕方が、ばっちりハマっているように思えたからである。
言葉を弾として撃ち合い、ぶつかりながらも、二人で結論を目指していく。ステージを同じ方向へ進み続けていく自機と敵機が、それを表している。
ひとつの表現方法としてのシューティングという、新しいものが見られた気がする。これは製品版も期待せざるをえない。
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