ELDEN RING

※この記事は断片的な情報を元にした考察ですので、公式の設定とは異なる可能性があります。

 狭間の地で主人公が出会うデミゴッドたちは、様々な点で世間一般の人間とは違うというのがよく分かる。なかでも特別なのは、“運命の死”以外では死ぬことがないということである。
 しかしながらこの“運命の死”というものについて、ストーリー上では具体的に説明されることがほとんどない。そこでこの記事では、この“運命の死”というのが一体どういうものなのか?について考えてみたい。

 まずはそのために、そもそもデミゴッドとはどういう存在なのか簡単にまとめておこう。以下に指読みのエンヤの台詞を引用する。

 「…けれども、あんた、気を付けることだね デミゴッドたちは、皆が女王マリカの直接の子 ただ接ぎ木のゴドリックだけが、遠い子孫にあたり…故に神の血は薄く、最も弱かったのだから」

 ゴドリックに関する説明を読むかぎり、たとえ遠い子孫であったとしても、少しでもマリカの血が流れていればデミゴッドとして扱われるということが分かる。
 もしデミゴッドの定義が「マリカの直接の子であること」であったならば、遠い子孫であるゴドリックはデミゴッドではなくなってしまうからだ。

 そして“運命の死”について考えるために、もう一つ欠かせないものが、各地にいる「歩く霊廟」たちである。霊廟については複数のアイテムの説明文で触れられている。まずは“霊廟兵の遺灰”を見てみよう。


 「霊廟とは、魂無きデミゴッドの霊安室」とある。つまり、何らかの理由で魂をなくしてしまったデミゴッドが、ここに安置されているというわけである。
 次に“蝕紋の大盾”の説明を読んでみよう。


 おや?とは思わなかっただろうか。「え?“魂無きデミゴッド”の時点でもう死んでいるんじゃないの?」という疑問が出なかっただろうか。

 「魂無きデミゴッドの守護星であり 彼ら(魂無きデミゴッド)を、運命の死から遠ざける」
 とは、言い換えると、
 「死人の守護星であり 死人を、運命の死から遠ざける」

 これでは「死」という言葉が二重になってしまっているのでは?という問題が出てくる。意味として成立しない。ここでさらに“首なし騎士、ルーテル”の遺灰を見てみよう。


 「魂無きデミゴッドが再誕した」と、事実として書かれているのである。これはどういうことか。ここからは筆者の考えになるが、デミゴッドには大きく分けて三つの状態があるのではないか、と推測する。簡単にまとめると、

 状態A:生存状態 = 魂も肉体も生きている
 状態B:魂無きデミゴッドの状態 = 魂は死に、肉体だけが生きている(再誕の可能性あり)
 状態C:運命の死の状態 = 魂も肉体も死んでいる(再誕の可能性なし)

 こう考えれば“蝕紋の大盾”の説明文にも矛盾がなくなる。そしてルーテルのような霊廟騎士たちは、魂無きデミゴッドが再誕のチャンスを逃さないように守っている、と解釈できる。
 重要なのは、霊廟は「霊安室であって、墓ではない」ということだ。言葉遊びだと思われるかもしれないが、「霊安室(一時保管所)であって、墓(終着点)ではない」といえる。
 さらなる根拠として、以下に魔術師ロジェールの台詞を引用する。

 「古い黄金樹の盛期、まだエルデンリングが砕ける前 何者かが、黒き剣のマリケスから死のルーンの欠片を盗み 冷たい夜に、黄金のゴッドウィンを弑したのです それは、歴史上はじめてのデミゴッドの死であり エルデンリングが砕け、破砕戦争が起こる、その切欠になったと言われています」

 重要なのは下線の部分である。歴史上初めてのデミゴッドの死がゴッドウィンであるなら、それ以前には死んだデミゴッドはいなかったということになる。
 つまり上述した状態A〜Cのうち、状態Cにまで至るデミゴッドはいなかった、ということである。これは霊廟や霊廟騎士たちがしっかりと機能・役目を果たしていた証明となる。

 (やはり、これらが上手く役目を果たせなくなった原因は、エルデンリングが砕けたことではないかと思われる。)

 霊廟については、啜り泣きの半島にいる霊体の台詞も見ておきたい。

 「…霊廟がさまよっている。魂無きデミゴッドを抱いて おお、永遠の女王マリカよ。貴女の、醜い落とし子を抱いて」

 これは一つの可能性に過ぎないが、もしかしたら主人公が狭間の地で出会った以外にも、もっと多くのデミゴッドが存在していたのかもしれない。
 もう一度“首なし騎士、ルーテル”の説明文を思い出してほしいのだが、

 「ルーテルが殉死し、守り続けた 魂無きデミゴッドが再誕した時」

 と、はっきり事実として書かれているのである。しかし主人公が出会った中に、再誕したと言われるデミゴッドがいただろうか?該当する人物がいないのである。
 そう考えると、主人公の知らないデミゴッドが過去に存在した、と推測したほうが自然に思われる。
 ただし、この再誕システムはエルデンリングが砕かれる前のもので、砕かれた後は正常に機能していないと見たほうが良いだろう。指読みのエンヤの台詞にも、

 「今や世界は、生命は、どうしようもなく壊れている 呪いと不幸が蔓延っているのだ」

 というのがある。主人公が倒してきたデミゴッドたちが再誕出来るかどうかについては、かなり怪しいように思われる。

 最後に、ここで霊廟のゲームシステム上の役割を思い出してほしい。歩く霊廟の中に入ることで、プレイヤーは強敵から入手した“追憶”を複製することが出来るのだ。
 歩く霊廟には二種類あって、鐘の付いていない霊廟ではデミゴッドの追憶は複製できない。遺灰を呼び出すときに“霊呼びの鈴”を使うことからも、「鈴や鐘を鳴らすこと」は魂や霊を呼び出すための重要な手段なのかもしれない。